令和 7年  6月 定例会(第4回) 06月13日-一般質問-04号 P.111 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 休憩前に引き続き会議を開きます。   質疑にあわせて一般質問を継続して行います。   5番、小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.111 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) 発言の機会をいただきましたので、通告に従い、順次質問いたします。   まず、所有者不明土地・建物についてのうち、Dランク空き家についてお伺いいたします。市民生活の安全確保や防災上のリスク軽減、さらには地域の景観や資産価値の維持の観点からも空き家対策は喫緊の課題と言えます。足利市内には、AからDの4段階でランクづけされている空き家のうち最も危険性の高いとされるDランクに分類される空き家が現在240件存在すると伺っています。平成30年の調査では275件とされており、新たな空き家の発生も見られる一方で、上限50万円の特定空家等解体費補助金制度の活用により、一定の効果が得られていると考えます。しかしながら、近年の改正された民法の制度と連動した国の新たな補助制度が整備されてきているため、今後制度の活用可能性や行政支援の在り方について、改めて検証する必要があると考えています。   そこで、空き家対策に対する市の認識と施策についてお伺いします。Dランクに分類される空き家の中には、所有者が不明な物件も一定数含まれていると考えます。周囲の生活環境に深刻な影響を及ぼすおそれのある物件について、市はどのようにリスク評価を行い、優先順位をつけて対応しているのでしょうか。対応の基準や判断についてお聞かせください。 P.111 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員の質問に対し、当局の答弁を求めます。   遠藤都市建設部長。    (遠藤彰夫都市建設部長登壇) P.111 ◎答弁 都市建設部長(遠藤彰夫) ◎都市建設部長(遠藤彰夫) 5番、小沼光代議員の御質問にお答えいたします。   国は、令和5年4月施行の民法等の一部を改正する法律により、所有者不明の特定の土地や建物について、財産管理制度を創設しました。   本市では、足利市空家等対策計画に基づき、平成30年度に市内全域の空き家など実態調査を実施し、空き家等の状態によりA、流通物件、B、利活用可能な物件、C、補修が必要な物件、D、危険な物件に分類し、利活用の促進、改善や処分を推進し、空き家対策に取り組んでいます。現在Dの危険な物件に分類されている240件の空き家の中から、さらに周囲に著しく影響を及ぼす危険な空き家を特定空家等に認定し、解消に努めていますが、このうち2件が所有者不明となっています。所有者が不明な空き家については、危険な状態が悪化する一方であることから、リスク評価にとらわれず優先的に財産管理制度の活用を検討し、実効性の高いものから市や利害関係人が管理人などの申立てを行うことで解決が図れるよう取り組んでまいります。 P.112 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.112 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) 先ほどの御答弁で、Dランクの空き家が240件あり、その中から特定空家等として認定しているとの説明がありました。   そこでお伺いいたします。この特定空家等と判断される基準は何を根拠としており、どういった状態の物件が該当するのか、市としての判断基準をお示しください。 P.112 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 遠藤都市建設部長。    (遠藤彰夫都市建設部長自席にて答弁) P.112 ◎答弁 都市建設部長(遠藤彰夫) ◎都市建設部長(遠藤彰夫) 再質問にお答えします。   判断基準ですが、国土交通省が定めたガイドラインに基づき、平成31年に制定した足利市特定空家等判断基準を用いて判断しています。特定空家等と判断される基準として、空き家等の危険性や有害性等について、また周囲の状況と周辺に及ぼす影響を判定しております。これらの判定で該当となった空き家等について、足利市庁内連絡会議を経て、足利市空家等対策協議会にて最終判定し、特定空家等を認定するものです。 P.112 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.112 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) Dランクに該当する危険な空き家の中にも、特定空家というのは放置すれば不特定多数の人に被害が及ぶような物件であることを重視している基準で理解いたしました。   再質問いたします。所有者不明の空き家については、リスク評価にとらわれず優先的に検討するという御答弁がありました。このリスク評価にとらわれずというのは、具体的にどのような意味なのかをお伺いします。例えばDランクであっても周辺への影響が比較的軽微な場合で、所有者不明であれば即座に優先対象となるのかどうか、実際の運用方針を確認させてください。 P.112 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 遠藤都市建設部長。    (遠藤彰夫都市建設部長自席にて答弁) P.112 ◎答弁 都市建設部長(遠藤彰夫) ◎都市建設部長(遠藤彰夫) 再質問にお答えします。   Dの危険な物件に限らず所有者不明の空き家は、建物の老朽化が進行することや樹木、雑草の繁茂、ごみの不法投棄などによって状況は悪化する一方ですので、検討する必要はあると考えております。 P.112 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.112 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) 内容は理解いたしました。   再質問いたします。次に、財産管理制度の活用についてお伺いいたします。これまでに本市の空き家対策事業として実際にこの制度を用いて対応した空き家は何件あるのでしょうか。また、手続に係る時間や費用、進める上での実効性や課題について、実際の運用状況をお聞かせください。 P.112 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 遠藤都市建設部長。    (遠藤彰夫都市建設部長自席にて答弁) P.112 ◎答弁 都市建設部長(遠藤彰夫) ◎都市建設部長(遠藤彰夫) 再質問にお答えします。   これまでに相続財産管理人の申立てが7件ございます。申立てから終了までの期間ですが、おおむね2年から5年を要しており、費用につきましては最大で予納金として80万円程度となっております。また、債務がある場合などにつきましては、予納金の返還が見込めないことが課題として挙げられます。対応に大変苦慮しているところでございます。 P.113 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.113 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) 相続財産管理人制度の概要や本市の実績、時間、費用、課題についての御説明を通じて、制度活用の現状がよく分かりました。   一方で相続財産については、令和5年の民法改正により相続財産清算人制度が新たに整備されており、管理人による処分や清算が比較的スムーズに行える可能性もあると考えております。また、こうした所有者不明の空き家対応については、国においても制度活用を後押しする補助制度が設けられており、制度的なコストや負担を軽減するためにも、これらの国の支援を積極的に活用することで、市として対応できる件数の拡大が期待できるのではないかと考えています。   そこで再質問いたします。近年代執行により解体された空き家があると伺っていますが、当該事案においては民法改正後であるにもかかわらず相続財産清算人制度を活用しなかったと聞いています。これは、緊急性を要する対応だったためなのか、それとも別の理由があったのか、制度選択の背景について御説明いただけますでしょうか。 P.113 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 遠藤都市建設部長。    (遠藤彰夫都市建設部長自席にて答弁) P.113 ◎答弁 都市建設部長(遠藤彰夫) ◎都市建設部長(遠藤彰夫) 再質問にお答えします。   相続放棄により所有者不存在となった空き家を令和6年度の略式代執行の手続により除却をいたしました。この空き家は、多くの児童や車両の通行がある幹線道路に接しており、一部倒壊するなど非常に危険な状態にありました。状況を調査した足利市空家等対策協議会からも、早急に解体し安全確保に努めるべきとの答申を受けました。加えまして、土地と建物の所有者が別々であることから、土地の売却が見込めない状況でもございました。相続財産清算人制度では、手続に約1年半以上の期間がかかることが想定されていたため、半年程度で手続が完了する略式代執行を選択したものです。 P.113 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.113 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) そうしますと、緊急性が高い場合には代執行のほうが適するということで理解いたしました。相続放棄により相続人が存在しないというのは、相続財産清算人制度が予定する典型的な事案であると考えますが、時間的余裕があり、かつ相続財産に収益性が見込める場合ではないと現実的な活用が難しい側面があることが分かりました。   再質問いたします。所有者不明と判断するに当たっては、どのような調査が行われているのでしょうか。例えば登記簿の確認、相続人の調査など具体的な判断プロセスについてお伺いいたします。 P.113 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 遠藤都市建設部長。    (遠藤彰夫都市建設部長自席にて答弁) P.113 ◎答弁 都市建設部長(遠藤彰夫) ◎都市建設部長(遠藤彰夫) 再質問にお答えします。   市が所有者を調査する際は、空き家に関する法令に基づき、まず登記簿や固定資産税情報、住民記録により所有者情報を確認しています。さらに不明の場合は戸籍を取得し、相続人を確認することや、周辺住民や自治会への聞き取り、福祉部局に情報を求めるなどの調査を行い、所有者を特定しているところです。これらの調査を行っても所有者が不明の場合、弁護士や司法書士などの専門家に相談しながら所有者不明の判断を行っております。 P.113 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.113 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) Dランクに属する特定空家のうち所有者不明の物件が2件というのは、数が少ないのではないかという印象を受けたため、お尋ねいたしました。被相続人名義のままで固定資産税が口座から自動引き落としされている場合など、表面的には納税が継続されているように見えるけれども、実際には管理が行われていないのではないか、また郵送での連絡がつかない状態で長期にわたってそれが継続していても、それ以上の調査が踏み込めていない例があるのではないか、そういった疑問を感じていました。   ただ、最終的には弁護士や司法書士等の専門家に相談しながら調査を行っているということですので、今後財産管理制度の事例も蓄積していけば、専門家との連携により解決できる事例も増えていくのではないかと期待しています。   再質問いたします。最後に、空家等対策計画の見直しについてお伺いいたします。本市の空家等対策計画は、平成30年度に策定され、直近の改定は令和4年9月とのことですが、その後民法の改正をはじめ、空き家対策をめぐる制度や国の方針も大きく変化しています。こうした状況の変化を踏まえて、現在の計画の内容は、現行の実務や国の方針と整合しない部分もあると思いますが、見直しや改定の必要性について市としてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。 P.114 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 遠藤都市建設部長。    (遠藤彰夫都市建設部長自席にて答弁) P.114 ◎答弁 都市建設部長(遠藤彰夫) ◎都市建設部長(遠藤彰夫) 再質問にお答えします。   現在の空家等対策計画の計画期間は、令和9年度までとなっております。空家等対策の推進に関する特別措置法が令和5年12月に改正されており、そのほかの法改正の内容などを視野に入れながら、今後見直しや改定を考えております。 P.114 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.114 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) 先ほどありましたように、財産管理制度も万能ではなく、運用において使い勝手の悪さを感じる場面もあるのかもしれません。しかし、法改正を受けて空家等対策計画を見直し、制度を有効に活用している自治体の例も見受けられます。危険な空き家の問題は、原則として私有財産の問題であり、行政が何とかしてくれると期待していた市民にとって、そうではない現実を突きつけられる典型例でもあります。だからこそ対応できる場合と対応できない場合の判断基準を明確に示し、透明性のある説明を尽くすことが行政への信頼につながると考えます。   一方で、危険空き家は地域住民の安全、景観、資産価値に直結する問題であり、行政が積極的に関与すべき公共的課題でもあります。今後は、制度改正や支援制度の拡充を最大限に生かし、市民が不安を抱えたまま取り残されることのないよう、空家等対策計画の見直し、実務体制の整備、そして制度の積極的な活用をお願い申し上げます。   次の質問に移ります。所有者不明土地・建物についてのうち、土砂災害等について。先ほどの危険な空き家に対するのと同じような考え方で、危険が懸念される所有者不明土地についても救済措置が検討されるべきではないかという観点からお伺いいたします。近年の集中豪雨や突発的な地震等を背景として、造成されたのり面や擁壁の老朽化による土砂災害や崖崩れのリスクが全国各地で顕在化しています。本市においても、個人または法人により造成された盛土や擁壁が劣化したまま放置され、所有者が不明のまま管理されていない土地が存在する可能性があります。こうした土地についても、現状では行政が災害の未然防止策を講じようにも所有者不明であることが壁となり、住民の安全確保が難しくなるという構造的課題があると思います。   そのような背景の下、令和5年の民法改正では、民法第264条第2項の新設により、所有者不明土地管理命令の制度が創設され、裁判所が所有者不明土地管理人を選任することで当該土地の管理や必要な処分、災害防止措置などを行うことができるようになりました。この制度により、行政が利害関係人として申立てを行えば、災害リスクの高い所有者不明土地に対して管理人を通じた是正措置や安全工事を行う法的枠組みが整備されたと考えられます。このような状況の土地について、行政が裁判所に所有者不明土地管理命令を申し立てることで、管理人を通じて安全対策の工事を行う対応が可能と考えますが、制度に対する市の認識と、今後そのようなリスク箇所の把握や制度活用の方針について伺います。 P.114 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 遠藤都市建設部長。    (遠藤彰夫都市建設部長登壇) P.114 ◎答弁 都市建設部長(遠藤彰夫) ◎都市建設部長(遠藤彰夫) ただいまの御質問にお答えします。   国は、平成30年11月、社会経済情勢の変化に伴い、所有者不明土地が増加していることに鑑み、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法を施行し、令和4年5月には管理の適正化を図るため、同法の一部を改正しました。また、先ほど答弁いたしましたとおり令和5年4月施行の民法等の一部を改正する法律により、所有者不明の土地や建物に特化した管理を行うことを目的として、新たな財産管理制度を創設しました。   議員御指摘のとおり、近年、頻発・激甚化している豪雨により土砂災害などが発生し、近隣の住民生活に支障を来すおそれがあります。災害リスク箇所の把握については、県が公表している土砂災害警戒区域等の指定状況を確認してまいります。また、本制度を活用し、裁判所が選定した管理人による所有者不明土地の適正な管理を行うことが可能となりましたが、土地の危険度を判定することは困難であり、慎重に対応していかなければならないと考えております。 P.115 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.115 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) 空き家と同様に、そういう危険な土地も近くに住んでいる人にとっては行政が何とかしてくれると思っているが、実際にはどうにもならない事例が多かったりするため、せめて窓口があればよいと思うのですが、土砂災害警戒区域や急傾斜地の認定、危険箇所の工事は県の管轄で、市としては危険が生じそうな場合には避難勧告をすることが主な対応となってしまうことで、地元の土地であるのに市が関与できる場面が限られていることが多いのはすごく残念であると思うのですが、これは立法で解決しなければいけない問題であるため、仕方がないとも思います。ただ、住民からの要請を受けたり、要望を受けた土地については、土砂災害警戒区域などに当たるようでしたら、県と協議をしてスムーズな指定につなげるように市としては協力をしていただきたいと思います。   次の質問に移ります。新クリーンセンターについてのうち物価高騰による影響についてお伺いいたします。新クリーンセンターの建設については、整備費約278億円、20年間の運営費が約225億円、合計約503億円で落札されました。しかし、その後の急激な物価高騰の影響を受け、建設工事も例外ではない状況となっています。市民の皆様からは、本当に当初の設計どおり完成できるのかといった不安の声も寄せられています。   そこで、お尋ねいたします。現在建設中の新クリーンセンターに関して、今後の物価高の影響によりインフレスライド条項の適用が見込まれますが、建築費に限っての上昇は現時点でどの程度だと想定されるのでしょうか。お尋ねいたします。 P.115 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小宮総合政策部長。    (小宮一夫総合政策部長登壇) P.115 ◎答弁 総合政策部長(小宮一夫) ◎総合政策部長(小宮一夫) ただいまの御質問にお答えします。   近年世界的な原材料価格の高騰や円安の影響を受け、建設工事の資材価格が高騰しています。また、労務単価の引上げなどにより建設現場で働く建設従事者の賃金も上昇しております。新クリーンセンター建設工事は、令和5年12月に契約を締結し、現在までで約1年6か月が経過したところであり、工事も順調に進んでおります。国内の建設工事の変動などを調査している団体が公表している標準的な建築指数によりますと、契約締結から現在までの期間において、工事費が10%以上上昇している状況となっています。   このような状況を受け、新クリーンセンター建設工事の受注者からインフレスライドの協議申出がなされました。現在受注者が精算しているところで、令和7年10月を目途に算出が完了すると聞いています。算出された金額については、市による確認とともに、知識が豊富な専門のコンサルタントにも確認させるなど、十分な内容の精査に努めます。また、インフレスライドの増額に対しては、国の交付金の活用、有利な起債の活用を図るなど、市の財政負担を軽減できるよう国や県の助言を得ながら適切に対応してまいります。引き続き安全で安定的な衛生行政の継続に欠かすことができない新クリーンセンターの整備に向け、着実に取組を進めてまいります。 P.115 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.115 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) 市民にとって身近な食料品も昨今は相当な値上がりを見せているので、工事費が10%上昇していると言われても、それなら仕方がないと受け止める方も多いかもしれません。しかし、現時点でインフレの傾向が落ち着く気配は見受けられず、むしろ長期化する懸念もあります。   そこで再質問いたします。仮にインフレスライドに基づく請求額が当初の想定をはるかに上回り、市の財政や市民負担に深刻な影響が及ぶような事態となった場合でも、市としては設計の見直しや段階的な整備、一時機能の縮小といった柔軟な対応は一切検討しない方針なのでしょうか。お尋ねいたします。 P.116 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小宮総合政策部長。    (小宮一夫総合政策部長自席にて答弁) P.116 ◎答弁 総合政策部長(小宮一夫) ◎総合政策部長(小宮一夫) ただいまの再質問にお答えします。   本市のごみ処理行政を安定的に継続するためには、今回計画した施設はいずれも必要な施設であると考えております。また、南部クリーンセンターの老朽化の現状を踏まえれば、新施設の整備は計画的かつ着実に整備を進める必要があると考えます。先ほど答弁でも申し上げましたが、市役所内部での精査をしっかりと行うほか、専門のコンサルタントにも確認させるなど、十分な内容の精査に努めたいと考えております。あわせて、国の交付金の増額あるいは有利な起債の活用など、歳入増となるような部分につきましても十分に検討してまいります。 P.116 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.116 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) 見直しをするにも、設計のやり直しや補償の問題などいろいろなコストがかかることが考えられますので、現時点ではその見直しは考えていないという答弁も十分理解できます。   再質問いたします。専門コンサルタントを交えて積算内容を精査するとのことでしたが、その結果が出た後、市としてはどのようなタイミングで、どのような形で議会に報告、説明する予定なのか、お尋ねいたします。 P.116 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小宮総合政策部長。    (小宮一夫総合政策部長自席にて答弁) P.116 ◎答弁 総合政策部長(小宮一夫) ◎総合政策部長(小宮一夫) ただいまの再質問にお答えします。   インフレスライドによる契約額の変更につきましては、先ほど答弁いたしましたとおり、まずは内部での十分な精査を行います。その後、専門家の知見も入れた後、議会に説明をさせていただき、議決をお願いしたいと考えております。 P.116 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.116 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) 新クリーンセンターの整備事業は、足利市の公共事業としては最大規模の予算を伴う極めて重要な案件であると認識しております。仮に10%の増額であっても、工事費だけで単純計算で約28億円に上ることになります。万が一20%、30%と広がっていけば、当初の契約との乖離はますます大きくなります。この事業は、3グループによる競争入札の下で契約に至ったものと承知しておりますが、仮にこれほどの金額差が事後的に生じるとなれば、入札時の積算や審査は果たして適正だったのか、市民から疑問の声が上がることになってしまいます。物価変動への対応として、インフレスライド条項に基づく増額協議は契約上、認められている制度であり、そのこと自体を否定するものではありませんが、税金で賄われる事業である以上、その増額が本当に必要かどうか、透明性ある説明と資料に基づいて、議会としても慎重に検討すべきであると考えております。必要な情報の開示と丁寧で誠実な説明が何よりも重要であることを改めて申し上げ、次の質問に移ります。   (仮称)新足利市民会館及び市役所本庁舎等整備基本計画策定市民検討委員会委員についてのうち、一般公募委員についてお尋ねいたします。市民検討委員会において、一般公募により2名の市民委員が選出されたと承知しております。2名のうち1名は20代または30代の女性と限定されていましたが、これは女性に選ばれるまち足利のコンセプトに沿う人選をしたいという趣旨だと理解しております。この選考については、市民の多様な意見を反映させるための市民検討委員会であることから、選考過程の透明性と公平性を確保することが重要と考えます。市民の信頼を得るためにも、選考に関する情報の開示をお願い申し上げます。   そこで、以下の点についてお伺いいたします。公募に対して何名の応募があったのか。また、応募者の年齢層や性別、職業などの傾向について、お答え可能な範囲で教えてください。また、応募時に提出された市民会館及び市役所の果たす役割についての400字程度の作文を通じて、市はどのような観点から選考を行ったのか。選考基準や重視した点について具体的にお示しください。さらに、選出された2名の市民委員について、どのような点を評価し選考されたのか、選考理由や期待する役割についても教えてください。 P.117 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小宮総合政策部長。    (小宮一夫総合政策部長登壇) P.117 ◎答弁 総合政策部長(小宮一夫) ◎総合政策部長(小宮一夫) ただいまの御質問にお答えします。   初めに、一般公募委員の募集状況についてです。令和7年4月23日より募集を開始し、5月22日に応募を締め切ったところ、7名の方から応募がありました。30代から60代まで幅広い世代の方に御応募いただき、性別についても偏りなく御応募いただいております。   次に、選考基準や重視した点、期待する役割についてです。応募に当たっては、市民会館及び市役所の果たす役割についてというテーマで作文を提出していただき、本事業に対する問題意識、主体性などの観点から評価を実施しました。応募いただいた全ての方が本事業の重要性を認識しており、熱意も感じられる内容となっていましたが、その中でも特に優秀だった2名の方を委員として選出しました。今回選考した一般公募委員に限らず、市民検討委員の方には足利市の未来を一緒に考え、市民の立場から公平かつ客観的で前向きな議論を期待しております。   市民会館及び市役所本庁舎などの整備事業は、本市の重要課題の一つであるため、市民検討委員会において、適宜、情報共有を図り、多角的な視点から御意見を頂戴してまいります。 P.117 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.117 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) 応募者の属性や選考の観点、市としての期待がうかがえました。   一方で市民からの公平性、公正性への関心は特に高いと感じております。現在整備候補地が3か所あることを踏まえると、地域バランスに配慮した人選かどうか、市民の納得を得る上でも必要な視点だと考えます。選出された2名の市民検討委員について、どの地域にお住まいか、または主な生活圏がどこか、差し支えない範囲で御説明いただけますでしょうか。 P.117 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小宮総合政策部長。    (小宮一夫総合政策部長自席にて答弁) P.117 ◎答弁 総合政策部長(小宮一夫) ◎総合政策部長(小宮一夫) 再質問にお答えします。   選出された委員のお住まいについての御質問につきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。公募委員の選考に当たっては、本事業を全市的な課題と捉え、公平かつ客観的で前向きな議論が期待できる方を選出させていただいたということでございます。 P.117 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.117 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) お答えいただけないのも当然だと思います。選考に当たっては、全市的な視点を重視されたという御説明は理解いたしました。   再質問いたします。今回募集により選出された2名以外の検討委員については、現時点で公表されていないようですが、どういった団体に属する方々なのか。例えば業界団体、学識者、地域団体など、構成の概要を可能な範囲でお示しいただけますでしょうか。市民としてどのような視点が反映される委員会なのかを把握したいという趣旨でお尋ねいたします。 P.117 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小宮総合政策部長。    (小宮一夫総合政策部長自席にて答弁) P.117 ◎答弁 総合政策部長(小宮一夫) ◎総合政策部長(小宮一夫) ただいまの再質問にお答えします。   今回公募させていただいた2名のほかの委員の構成という御質問ですが、学識経験者と各種団体からの推薦で構成させていただいております。学識経験者の方々は、文化政策や建築、DXの専門家の方々です。各種団体は、教育や子育て、商業や福祉、文化などの団体から選出いただいた方々となっております。 P.118 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.118 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) 多様な分野からの意見が反映される仕組みがあるということは、市民にとっても安心材料になると受け止めています。その上で、そうした委員の皆さんによる議論の中身がどのように市民に伝わり共有されるのかが次の焦点になると考えます。   再質問いたします。意見交換や議論の内容が市民にどう共有されるのか、具体的な方法があればお聞かせください。また、今後の委員会開催に当たっては、傍聴の可否やパブリックコメント、ワークショップの実施など、市民が参加できる機会を広げる考えがあるのか、御見解を伺います。 P.118 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小宮総合政策部長。    (小宮一夫総合政策部長自席にて答弁) P.118 ◎答弁 総合政策部長(小宮一夫) ◎総合政策部長(小宮一夫) ただいまの再質問にお答えします。   市民検討委員会での議論の内容につきましては、順次公開していくことを考えております。市民検討委員会に限らず様々な機会を捉えまして、市民の皆さんの声を聞く場を設けていきたいと考えております。 P.118 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.118 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) 情報公開と市民参加についても柔軟に取り組んでいくとの御答弁をいただきました。本整備事業は、長期的かつ全市的な影響を及ぼすものであるからこそ、市民との対話の機会を不断に確保していくことを引き続きお願い申し上げ、次の質問に移ります。   文化財を生かした観光についてのうち、パレードの開催についてお尋ねいたします。市内には、文化財にも指定されているおみこしが存在すると聞いています。例えば関西地方では、地域を越えておみこしが一堂に会する大規模なパレード形式のお祭りが行われることも多く、また青森のねぶた祭のように複数の山車がそろってまちを練り歩く姿が観光客にとっては非常に魅力的です。本市においても、市内各地域のおみこしを一斉に集めたパレードのようなイベントを開催することはできないのでしょうか。こうした取組は、文化財の魅力発信にも資すると考えます。   また、八木節についても市内に連合会があると伺っていますが、現在はグループ単位での活動が中心である印象です。これについても、おみこしと同様に市内外の団体が一堂に会して演奏、演舞を披露する大規模なパレード形式のイベントや飛び入り参加型の参加しやすい催しを検討することはできないのでしょうか。文化財を活用した観光振興の一環として、こうした統合的なイベントの開催について、市の見解をお尋ねいたします。 P.118 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 板橋教育次長。    (板橋秀明教育次長登壇) P.118 ◎答弁 教育次長(板橋秀明) ◎教育次長(板橋秀明) ただいまの御質問にお答えします。   本市は、数多くの貴重な文化財が残されており、適切に守り伝えていく責務があります。また、こうした文化財の活用を図り、多くの方にその価値を知っていただくことで認識が深まり、郷土愛の醸成につながるものと考えます。議員から御提案をいただきましたみこしや八木節を活用した大規模なパレード形式のイベントの開催につきましては、文化財の周知啓発や活用面だけでなく、八木節の振興と町なかのにぎわいを創出し、観光と連携した文化観光の取組につながるものと考えます。こうした大規模なイベントの実施に当たりましては、所有者の意向、参加する関係団体、市民のニーズのほか実施主体や費用の問題、さらに道路の交通規制など様々な課題がございますので、これらを総合的に勘案していく必要があると考えます。 P.118 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.118 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) 現実的な課題があることは承知しています。一方で、パレード形式のイベントの開催について、私の考えるメリットを酌み取っていただけたと思います。   再質問いたします。おみこしや八木節など、文化財を活用したイベントを民間団体や実行委員会が実施する場合に、国や市などからどのような補助金の交付が想定できるのか、お尋ねいたします。 P.119 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 板橋教育次長。    (板橋秀明教育次長自席にて答弁) P.119 ◎答弁 教育次長(板橋秀明) ◎教育次長(板橋秀明) ただいまの再質問にお答えします。   文化庁では、地域に古くから継承されている当該地域固有の伝統行事や民俗芸能等の文化遺産に対する補助金制度はございますが、新たなイベントやパレードに対する補助金の制度は現在ございません。補助金や助成金は、文化庁以外の省庁のほか、外郭団体や民間団体などにおいても、地域活性化やまちづくり、祭りの開催などを目的とした様々なメニューがあると想定されます。 P.119 ○議長 議長(斎藤昌之) ○議長(斎藤昌之) 小沼光代議員。    (5番 小沼光代議員登壇) P.119 ◆質問 5番議員(小沼光代) ◆5番議員(小沼光代) 文化財に関わりがあるとはいえ、新たに企画するパレードについての補助金を活用する場合というのは、主に外郭団体や民間団体からのものに限られるという点は承知いたしました。   その上で、こうしたイベントに広く浅く多くの人を巻き込むためには、伝統を守ると同時に新たな要素を柔軟に取り入れることが必要だと考えます。例えば青森ねぶたや山形花笠音頭のように、企業ごと、学校ごと、あるいは町内ごとに隊列を組み、それぞれ工夫を凝らした踊りや衣装で参加し、観客の投票によって評価される対抗形式も一つの手法として面白いのではないでしょうか。   また、文化の承継という視点から見ても、少子高齢化や担い手不足が進む中で、地域ごとに受け継がれてきた文化がこの先も継続していくためには、地区ごとの努力だけでなく、市全体で支えていく体制が必要だと考えています。パレードのような形でおみこしや八木節といった地域文化を動く文化財として広く発信する取組は、観光振興にとどまらず次世代への継承や郷土への誇りを育むという点でも極めて意義深いものと考えます。実現には、幾つかハードルがあることは重々承知しておりますが、それでもこうした提案を継続して発信していくことで市民の皆さんの関心が高まり、やがては民意として形になることを期待しております。   以上の板橋教育次長の答弁をもちまして、私の全ての質問を終わりにいたします。