2023年11月7日、8日の2日間、教育経済建設常任委員会の視察で愛知県岡崎市及び瀬戸市に訪問しました。
こちらは公費での参加となります。
【視察内容】
1日目は岡崎市役所で大河ドラマ誘致に向けた取り組みを聞いた後、「どうする家康」のドラマ館を視察しました。
2日目は教育分野で足利市も関心の高い小中一貫校の先進事例を学びに。瀬戸市の「にじの丘学園」立ち上げまでの話、小中一貫校のメリット、デメリットを伺いました。現地の学校の視察はありませんでした。
以下は、視察後に提出したレポート(原文)になります。
字数制限がありますので、個人の感想は一番下にまとめています。
○愛知県岡崎市
大河ドラマを契機とした観光振興について
【所 見】
岡崎市は徳川家康生誕地ということで、コンテンツが強力である上に、家康が誕生した岡崎城は天守閣も復元されてあり、城跡の岡崎公園内に従来からある「三河武士のやかた家康館」を「大河ドラマ館」に転用できたという利点がある。大河ドラマを誘致する難易度や足利氏に関する歴史博物館が存在しないことを考えると、今回の事例をそのまま当市に当てはめるのは難しい
しかし、その岡崎市といえども、ラッピング電車、交通機関でのPR、歴史雑誌での特集、SNS配信等、多額の資金を投入し、年齢や関心の高い層、地域別にターゲットを絞り戦略的に宣伝を行っていた。この点に関しては、大河ドラマにかかわらず日頃の観光誘致で参考になる点が多い。
当市も、近年は山姥切國廣の展示で成功しているのであるから、その時の集客方法を分析し直して、足利氏をテーマとする観光誘致に生かすべきである。当市が「太平記」と同じテーマで再び大河ドラマに取り上げてもらうことは確率的に難しいとしても、今回の視察を機にもう一度過去の実績を見直す良い機会だと考える。
足利市と足利氏の関係を見ると、特に尊氏との直接的な関連は薄く、知名度を利用したくとも全面に押し出すことにジレンマを感じる。尊氏の先祖は鎌倉幕府との関連も強く、八幡太郎義家から足利義兼までの流れは、中世の歴史の中でも重要な人物が登場し、昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に引き付けた観光PRをすべきだったのではないか。足利義兼をもっとメジャーにすべく、10年かかっても良いので市内にあるゆかりの歴史・文化遺産に関連付けるPRを続けていけば義兼公を題材とした大河ドラマの実現可能性があるのではないか。
初めは誰と思われようが、玄関口であるJR足利駅、東武伊勢崎線足利市駅の構内、観光案内所、足利市役所のロビー等、市民や来訪者の目につく場所で地道に浸透させていくのがよいのではないか。郷土の歴史教育も必要である。
なお、岡崎市内を走る路線バスの車体には市内各地の観光情報にアクセスできるQRコードをデザイン化して多数掲載していた。足利市でも案内所に限らず普段から街の中にQRコードを多用した看板を設置するのはどうだろうか。
○愛知県瀬戸市
小中一貫校について
【所 見】
市街地中心部の小中7校を1つにまとめ、中心部から少し離れた郊外の公園内に新しい校舎を建てたという先進事例であった。
中心部の学校は各々の特色もプライドもあるため、既存の建物に集約することは難しかったようだが、それを構想から4年で完成させた実行力は素晴らしい。反対者は多くとも、保護者、地域住民に事前に丁寧に説明し、新しい小中一貫校の魅力を伝えるというのがポイントだという。
当市に例えると、足利高校跡地(予定)あたりにけやき小、青葉小、東山小、さくら小、第1中学校から第3中学校までを集約して新たな校舎を新築するようなイメージだろうか。想像すると4年間で実現というのはなかなか困難を伴うように思う。個人的にはけやき小を特色のある小規模精鋭校にしたいが。
にじの丘学園の新校舎は地場産の木材を使用することで助成金を上乗せでき、見た目がモダンで天然素材の風合いが感じられるのみならず、郷土愛育成にも役立つというメリットがある。離れた場所から通う生徒も増えるため、路線バスの活用と横断歩道で見守るボランティアの存在が不可欠だという。郊外の公園内だからか、学校前に歩道橋がない。維持管理上、負の遺産になりやすいため、校舎新築の際に歩道橋を作らなくて済む場所が良いと思った。
一貫校のメリットとして、年の離れた生徒同士が仲良くできる、上級生が下級生を思いやる心が育つ、中学3年生の卒業式には小学生が列を作り世話になった先輩たちを送り出す光景に先生たちは感動を覚えたという。逆にデメリットとして、同じ人間関係が続く(いじめ等があれば問題)、小学生6年生がリーダーシップをとる機会が失われる、中学生に上がる時の新規性、緊張感がなくなる。1,000人を超える生徒がいて一人一人に目が届くのだろうか。少子化傾向で現在の少人数制の学校はメリットでもあるので気になった。
また、瀬戸市内には他に、既存の小中学校の建物を利用し各々の場所が離れた小中一貫校も存在するというが、やはり市内からも新しいにじの丘学園に人気が集まり、他がどうなっているのかもう少し踏み込んだ説明が聞きたかった。
なお、今回は関係者からの話だけで現地視察がなかったため、せめてバスの中からでも学校の周りを見学したかった。瀬戸市の市役所を手掛けた設計会社は、今後、当市の新クリーンセンター余熱体験施設の建物も担当予定であるため、以前から瀬戸市役所内部を見てみたかったのでこの点は満足である。
以上
※2023年11月末現在の情報になります。
【視察に関する個人的な感想】
常任委員会の視察は1人5万円までという予算の制限があります。新幹線や特急電車を利用すると、山形県、新潟県、長野県、愛知県、岐阜県、静岡県あたりまでになるようです。
移動に5~6時間かけて、1日の視察が1~2か所で視察時間は実質2~3時間しかありません。
視察の目的以外でも、街の様子や市庁舎の造りなど、現地に行ってみて初めて実感できることもありますが、類似の先進事例があれば近場を選択肢に入れて1日の視察対象を増やす、リモートで可能な内容はリモートにするというメリハリが必要だと感じます。
議員の視察への市民の目が厳しくなっている中、公金を使って視察に行く以上はそれ相応の理由と成果が必要だと思います。
大河ドラマ館に関しては、事前に議員から希望が上がっていなかったので、なぜここになったのか???私にもわかりません。
【視察先の情報】
◆愛知県岡崎市
人口約38万人。高崎市と同じ規模です。東海道新幹線ひかりの停車駅で、駅前には飲食店が多数あり、夜もお店探しには困りません。
市議会議員の定数は37名。中核市になると市民1万人に1人の議員定数が一般的なのかと感じました。
東岡崎駅から市役所までは徒歩12分。大河ドラマ館のある三河武士のやかた家康館までは駅から徒歩20分、バスで10分です。
市役所は東と西の庁舎に分かれていました。議会のある庁舎の一階は観光案内所になっていて、「どうする家康」他、メディアで取り上げられたポスターがたくさん飾ってありました。
築年数はそこそこ感じる建物でした。
建物内をすべて見学したわけではないですが、人口の割にはまとまっている庁舎だと思います。
市役所の最寄り駅は「東岡崎駅」。
駅の階段は「どうする家康」仕様。
駅前には徳川家康像。
市内を走る路線バスの側面には市のゆるキャラ「オカザえもん」の髪の毛の部分に観光情報が分かるQRコードがちりばめられています。
ご当地ナンバーは三河の武士の兜かな?
近隣では見かけないデザイン。
岡崎市役所
少し早めに駐車場に到着したところ、議員さんに声をかけられました。
市役所一階は観光案内所
岡崎城址にある岡崎公園。
公園内にある大河ドラマ館。
元々、三河の武士に関する博物館になっています。
本田忠勝の等身大パネル
家康の甲冑
◆愛知県瀬戸市
人口約13万人。足利市と佐野市の中間くらいの規模です。駅ビルはこじんまりとしていて、駅周辺には瀬戸物のミュージアムがありました。市議会議員の定数は26名。人口比で言うと足利市よりも多いですね。
市庁舎は2016年1月に新築。太田市役所や小山市役所と同じ設計会社(足利市の新クリーンセンター内に建設される余熱体験施設も同じ)。写真で見ていて視察に行ってみたい建物の一つだったのが実現しました。市民課の受付が整然としていて見栄えが良く、吹き抜けの休憩スペースなどもありおしゃれな印象でした。
瀬戸市は瀬戸物の街ですが、最近は棋士の藤井聡太さんの出身地として知られています。
瀬戸市駅前
駅周辺は瀬戸物の街らしく陶芸のお店が軒を連ねています。
瀬戸市で初めて市民栄誉賞を受賞したという藤井聡太さん。
お昼ご飯は瀬戸物ミュージアムへ。
器も見学。
瀬戸市の中心部から1駅離れた静かな場所にある市役所
本会議場は明るい木目調で、当局側と議員席がフラットな造り。
足利市議会のような赤絨毯はかえってレトロで希少価値があるように感じてしまいます。
市民課の窓口はDX化が進んでいます。
市役所1階はホールの代わりに吹き抜けの中庭(屋外)
地元の木材を使用した天井
こういうのを利用すると建設時に補助金を上乗せできるというメリットがるようです。
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