【視察】IT革新の光を灯す コミュニティーサロン GITY & 駄菓子屋 ひびのば ~群馬県前橋市

若者の起業精神は、どんな「場」から育つのか

同じ会派の海老沼議員がどうしても訪れたいというので、前橋市にある駄菓子屋さん「ひびのば」2号店にお邪魔しました。

記事作成日:2025/12/19

【視察レポート】

本業ではIT系で事業を行う経営者が、貸しビルの2階ワンフロアを借り、シェアオフィス兼、刺激のある出会いと挑戦の場として運営している一角にある。

「GITY」のテーマは、「学び×つながり」

オフィスは24時間365日開放され、学生は無料、社会人は月額制。
現時点では赤字とのことだが、「若者を応援する」という目的を明確に掲げ、その実現のために黒字化を目指すという姿勢が印象的だった。行政からの支援はなく、同じ志を持つ若いスタッフがUターンなどで関わっている。

一角には駄菓子コーナー「ひびのば」があり、学生が自ら企業に営業をかけて商品を仕入れ、販売する仕組みをつくっている。売上自体は大きくないが、営業、交渉、納品、販売までを実体験として学ぶ機会になっている。
また、水槽管理をAIで行う実験、企業提供の酸素カプセルの運用、大学生が子どもに勉強を教える活動など、営利・非営利が混在した多様な試みが同時多発的に行われていた。

この場で強く感じたのは、「何をやるか」よりも「どういう立ち位置でやるか」が決定的に重要だということだ。
学生たちは参加者ではなく当事者であり、うまくいかなければ自分たちの責任として跳ね返ってくる。小さくてもリスクを引き受ける構造がある。

一方で、地方では若者を対象にした様々なイベントや体験型事業が行われている。
それらは決して否定されるものではないし、街の賑わいや思い出づくりとしての価値もある。ただ、「起業精神を育てる」という観点で見ると、もう一歩踏み込める余地があるのではないか、と感じることもある。

起業精神は、用意された舞台で役を演じることからは生まれにくい。
自分で考え、動き、失敗し、時に大人を困らせながらもやり遂げる経験の中で育つものだと思う。

もし足利で、若者を対象に起業精神を育てる取り組みを本気で考えるなら、理想は次のような形ではないだろうか。

・行政や大人は「企画する側」ではなく「場所と余白を用意する側」に回る
・若者が自らテーマを決め、意思決定を行う
・失敗しても責められず、やり直せる時間がある
・成果よりもプロセスが尊重される
・黒字化や事業化は「結果」であって「条件」ではない

行政がすべてを設計すると、安全で分かりやすい事業にはなるが、驚くような挑戦は生まれにくい。
むしろ、少し危うく、説明しにくく、赤字すら許容されるような「場」を、行政の外側も含めてどう支えるかが鍵になる。

前橋で見た取り組みは、すぐに真似できるものではない。
しかし、「若者に何をさせるか」ではなく、「若者が何をしてしまうか」を受け止められる環境をつくる、という発想は、足利にとっても大きなヒントになるはずだ。

私自身は、今のところ少し距離を置いて観察している立場だが、こうした事例を見ながら、足利らしい形で若者の挑戦が根付く土壌について、考え続けていきたい。


「ひびのば」1号店
〒371-0805 群馬県前橋市南町3丁目74−11
営業時間:毎週火・金 15:00~18:030

「ひびのば」2号店
群馬県前橋市千代田町2丁目2-11 レジデンス2階
営業時間:24時間365日

公式サイト
公式Instagram

GITYオフィス 公式サイト

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