【視察】公共施設建設・整備検討特別委員会 山形県長井市・南陽市 2026年2月18日・29日

新市民会館・市役所の基本計画が今年の秋頃には策定される予定ですが、議会としても積極的に提言を行えるよう、急遽、施設の複合化や市民会館の在り方について参考にできる自治体の視察に向かいました。


公共施設建設・整備検討特別委員会行政視察報告書

○山形県長井市

  公共施設の複合化について

【所 見】

長井市では、中心市街地の活性化と市民の利便性向上を目的として、駅舎と市庁舎を一体的に整備した複合施設を建設した。鉄道駅と行政機能が同一建物に集約されていることで、通勤・通学などで駅を利用する市民が行政手続きにも立ち寄りやすく、日常生活の動線の中で行政サービスを受けられる点が特徴である。人口規模の小さい自治体においても、拠点機能を集約することで利便性と回遊性を高める効果が期待できる取り組みであると考えられる。

また、市庁舎の向かいには、図書館と子どもの遊び場を中心とした複合施設「くるんと」が整備されている。グンゼが出資して整備した建物を市が取得する形で実現しており、民間資金やノウハウを活用した公共施設整備(PPP)の事例である。本施設は「学び・育ち・遊び・出逢いを紡ぐ場所」をコンセプトとし、図書館、子どもの遊び場、子育て支援機能、カフェなどを一体的に配置した交流拠点として整備されている。子どもの遊び場には東北最大級のボールプールやデジタル映像を活用した遊具などが設置されている。子どもが自然に体を動かしながら遊べる工夫が施されており、天候に左右されない屋内型の運動機能も備えた施設となっている。

今回の視察を通じて、今後、本市の老朽化した図書館の建て替えが検討される際には、子どもの遊び場などの機能との複合化について参考にできる取り組みであると考えられる。

 

○山形県南陽市

  市文化会館「シェルターなんようホール」について

【所 見】

「シェルターなんようホール」は、1,403席を有する中規模の多目的文化ホールとして整備されている。地方都市における文化ホールとしては標準的な大きさであり、本市が想定する規模とも近い。建物は木材を活かした温かみのある空間構成となっており、華美な装飾ではないものの落ち着いた雰囲気があり、印象に残るホールとなっている。

客席は2階席やバルコニー席を設けず、1階から緩やかなスロープ状に後方へ広がる構成となっている。このような構造は音響設計を行う上で残響のコントロールがしやすい利点があるとされている。音響について説明を受けたところ、残響時間は約1.7秒程度であり、クラシック専用というよりも、多様な公演を受け入れる多目的ホールとして設計されていると考えられる。また、可動プロセニアムや音響反射板を用いることで、コンサート形式の公演にも対応できる設計となっている。

ホワイエにはこれまで来演したアーティストのポスターが掲示されており、Jポップを中心とした著名アーティストの公演が多く開催されていることが確認できた。地方都市においては大型公演が大規模ホールに集中する傾向がある中、本ホールではポップスや舞台公演など多様なジャンルを受け入れることで稼働率を確保している状況がうかがえた。

客席については座席間のピッチや幅がややコンパクトであり、限られた空間の中で座席数を確保する設計となっていると考えられるが、大柄な利用者にはやや窮屈に感じられる可能性もあると感じた。収容人数と観覧環境のバランスについては、今後ホール整備を検討する際の参考となる点である。

また舞台裏の動線設計は非常に効率的であり、11トントラックが屋内搬入口に直接乗り入れでき、搬入口から舞台までの距離も短く設定されている。舞台スタッフにとって搬入作業のしやすさは重要な要素であり、こうした設計は公演の受け入れやすさにつながると感じた。

小ホールについては可動席を採用しており、用途に応じて客席数を調整できる構造となっていた。立ち見形式では約500人規模、椅子を配置する場合は約300人規模で利用できるなど、多様なイベントに対応できる柔軟性を備えている。

今回の視察を通じて、文化ホールの整備においては客席規模だけでなく、想定する公演ジャンル、音響設計、舞台裏の搬入動線、客席の快適性などを総合的に検討する必要があることを実感した。本市においても将来文化施設を検討する際には、建物の規模や外観だけでなく、運営面や利用実態も踏まえた施設計画が重要であると考えられる。


【フォトギャラリー】

◆山形県長井市

駅舎と併設された市役所庁舎は全国でも珍しい

改札を出ると、駅のロビーと売店、その奥には市民課の窓口がある造り

長井市議会議場
天井が高く、外から光を取り込むスタイルなのが最近の流行りらしい

「くるんと」のあそびば

「くるんと」のボールプール

空き時間に訪問した小学校の校舎をリノベした施設

英会話教室も実施されるカフェ

通りすがりのけん玉のお店
長井市はけん玉の生産が日本一だそうで、このショップにはけん玉の世界チャンピョンもいて、技を披露していただいた

◆山形県南陽市

市文化会館の建設にもかかわった職員からも話を聞いた

「シェルターなんようホール」の舞台から見た客席
ゆるいスロープ状になった1階席だけの大ホール

華美ではないがとても美しいホール

木造コンサートホールとしては世界最大だそう
単に壁に木材を張り付けるだけではないので、音の響きが独特なのかもしれない

ホワイエには今まで訪問したアーティストのポスターがずらり

舞台裏の搬入口には11トントラックが2台横づけできる

アーティストは音響で選ぶ
スタッフは搬入経路で選ぶ
プロモーターは収益で選ぶ

市民会館の建設にはこの視点が欠かせない


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