【視察】教育経済建設常任委員会 愛知県名古屋市 ・豊明市 2024年10月17日

2024年10月17日、18日の2日間、教育経済建設常任委員会の視察で愛知県名古屋市及び豊明市に訪問しました。

こちらは公費での参加となります。
以下は、視察レポートになります。

最終更新:2025/9/26
記事作成:2024/10/25


教育経済建設常任委員会行政視察報告書

○愛知県名古屋市

  ナゴヤ・スクール・イノベーション事業について

【所 見】

この事業は、従来の一斉授業の形式を廃止し、児童生徒が各自の関心に基づいた分野を学べるよう、教師が一人一人に対し異なる指導を行うものである。全員が黒板の方を向いて先生の話を聞くのではなく、教室では机の配置もバラバラ、自由な雰囲気であり、各自が漢字ドリルや算数ドリルを解き、質問したいことがあればその都度、先生が対応してくれるという恰好である。毎週、児童生徒が自ら学習計画を立て、それを達成できたか先生は見守る役といえる。

導入している学校により教育方法は多少異なるが、GIGAスクール構想の一環として、教育のICT化を積極的に導入し、児童生徒一人一人に対応した教育を手助けしている。

本取り組みは、詰め込み教育の対極に位置し、子どもの自主性を尊重するため、学習意欲が向上する点に意義がある。勉強が嫌いな児童生徒には向いていると思う。一方で、受験勉強への対応が課題となっている。基礎学力を盤石にすることは長く将来にわたり影響する。その上で学習進度の早い生徒に対し、応用分野や志望校の出題傾向に対応したタブレットのドリルが用意されていれば良いが、今のところは学習塾に頼らざるを得ないのかと思う。

大都市の公立校でこのような実験的な取り組みがなされていることは画期的といえる。多様な選択肢が用意されていることは素晴らしいと思う。しかし、どのような教育方法であれ、集団生活になじみにくい児童生徒が一定数存在することや、自ら興味関心を持つ対象を見つけにくい子もいるのではないかと考えると、はっきりとした成果が出るのはまだこれからではないかと思う。一斉授業に比べ、不登校の生徒数が減ったかというと、そこはまだだという。スクールカウンセラーについて先進的な取り組みをしているようなので、今後の動向を見ていきたい。

本市でも、「自ら学び 心豊かに たくましく生きる 足利っ子」を目指すべき子ども像としていることから、基本的には同じ思想に基づいて今後の教育改革が進められていくと思う。名古屋市では教師の意識改革と対話が重要という説明を受けたが、その通りだと思う。


名古屋市役所で「スクール・イノベーション」の説明を受ける。

昭和8年竣工、クラシカルで重厚な名古屋市議会の議場
少し前まで河村たかし市長がいたと思うと感慨深い

 


○愛知県豊明市

  オンデマンド型乗合交通について

【所 見】

豊明市は、全国で初めて完全オンデマンド型の乗合送迎サービス「チョイソコ」を導入した。主に高齢者や交通手段に不便を感じる地域住民の外出を支援し、健康増進を目的とした取り組みである。

主要駅と中心市街地は大型の路線バスが走り、郊外はエリアごとにコミュニティバスが補完する。それでも網羅しきれない過疎地域には「チョイソコ」を運行し、コミュニティバスや路線バスへの接続をスムーズにするというものである。

オンデマンド型乗合交通のデメリットは、1人1回あたりの利用につき経費が数千円にも上ることであるが、そこは民間の事業者にスポンサーとなってもらい、自治体の負担を軽減するアイデアが取り入れられている。例えば、高齢者が立ち寄る機会の多いいスーパー、ドラッグストアに広告費を出してもらうという具合である。

もう一つの課題、完全オンデマンド型の場合、乗降地点もバラバラであり、なおかつ、コミュニティバスや路線バスへの乗り換えの接続も考慮しなければならない。この複雑な予約システムが肝となるが、これを運用しているのがトヨタ自動車の主要部品サプライヤーである「株式会社アイシン」だ。

豊明市の訪問に先立ち、刈谷市にある同社のコールセンターを見学させてもらった。全国で同社のシステムを採用している約80の自治体のうち、このコールセンターでは50ほどを受け持つというが、オペレーターは10人程度で思ったよりも少ない。全国から予約の電話を受けるので、乗降地点の地名も方言も聞き取りにくいと思うが、1予約当たり2分程度で完了するという。ネット予約も可能だが、高齢者はやはり対面で説明を受けた方が安心すると思う。その分、人件費はかさむであろうが。

本市も高齢化に伴い、免許返戻者の足を確保するため、オンデマンド型の乗合交通にするか、タクシーチケットを補助するか、それとも送迎のボランティアに頼るか、長らく議論されてきた。この「チョイソコ」のシステムに乗ってしまうのが手っ取り早いと思うが、問題は費用の捻出とスポンサー探しだと思う。まだ栃木県内では「チョイソコ」を採用している自治体はない。遠方の会社だからだろうか。同じようなシステムを開発し、提供してくれる地元企業が現れてくれるのであれば、議論は進むと思う。


株式会社アイシンは刈谷駅前のオフィスビルにある
「チョイソコ」の概要の説明とコールセンターを視察

豊明市役所で「チョイソコ」について説明を受ける

豊明市議会の議場前にて

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