【議会】令和5年第3回市議会定例会 一般質問 南部クリーンセンターの建替えの件 & 感想

2023年6月9日より令和5年第3回市議会定例会が始まりました。

定例会では、会派枠の代表者2組に続き、個人の議員が議案に対する質疑お及び一般質問が行われます。

今回、会派枠が2人、個人で質疑及び一般質問を行うのは11人。

新人は公明党のお二人と私一人です。

2023年6月29日更新
⇒小沼みつよの一般質問の録画放送はこちら

 

【目次】

 

 

【今回の一般質問のテーマ】

私のテーマは、南部クリーンセンターの建替え(新クリーンセンターの設備整備)についてです。

令和5年1月に入札告示、6/19入札書類提出締切、8月に落札予定、12月に契約締結が行われる予定ですが、市民の9割以上は設備の概要も入札金額も知らないと思われます。

入札予定額600億円超という足利市史上最高金額の公共事業ですが、ごみ処理センターだけをとっても相場よりも高額であり、さらに大型スポーツクラブとスーパー銭湯を足したような巨大施設が付加されています。

どうしてこのような施設になったのか、この金額は果たして妥当なのか?

他に市民会館の建設や公共施設の統廃合が控えているにもかかわらず、市民に詳細が知らされないまま進められようとしているため、改めてその事業の内容を明らかにしたいと考えています。

【質疑及び一般質問通告一覧表】

⇒その他の議員の一般質問の日時と概要はこちら

 

【小沼みつよの一般質問の概要】

1、新クリーンセンターの設備整備について

(1)入札金額と設備の変更

・市のHPで公開されている「足利市一般廃棄物処理設備整備基本計画」[概要版]によると、平成29年の段階では、新焼却施設の建設費の概算が98億円~122億円、新リサイクル推進施設の概算が14.1億円だったものが、令和2年にはそれぞれ188億円、29億円と倍近い額に増加している。増加分は建設費の高騰だけなのか、設備の変更があったのか。変更した場合には、具体的にどの部分がどれだけ費用増加につながったのか聞きたい。

(2)余熱体験施設

・今回の入札に関する要求基準書では競泳用の25mプールが5レーン以上、トレーニングジム等大型スポーツクラブと変わらない施設が追加されている。ごみ処理施設とこれらの施設を合わせると入札価額は建設費約320億円、管理運用費約285億円の合計約604億円にも上る。ごみ処理施設にこの規模のプール等の施設が付加されることになった経緯を具体的に聞きたい。

・プール・温浴施設等に関し、事業者に支払う1年間の委託料はいくらを予定しているか聞きたい。

(3)財源

・単独の公共事業としては最高額と考えるが、国の補助金の割合はいかほどか。どの省庁からどんな制度の補助金をどこに充てる予定なのか聞きたい。

・補助金と収入(持ち込みごみ処理手数料、プール等施設利用料、売電料金等)を合わせれば費用対効果や経済性は確保されると考えるのか聞きたい。

(4)パブリックコメント

・当初の予定よりも設備の規模も費用も増大していることから、一般市民への情報提供も不可欠と考える。コンセンサスは得られていると考えるのか。入札公示後の段階では遅きに失すると考えるが、新クリーンセンター単独でのパブリックコメントを実施する予定はあるのか聞きたい。

※通告している質問の下書きは以上になりますが、担当部署の回答によっては再質問と続いていきます。

【新クリーンセンターの設備整備に関する資料】

⇒こちらのページには足利市一般廃棄物処理施設整備基本計画【概要版】H29とR2の2つがあります。

↓ 平成29年当時に予定されていた建設費

⇒こちらのページには令和5年1月に告示された入札に関する資料があります。

↓ 入札予定価格は「入札の説明」p14~p15

↓ 新クリーンセンターの余熱施設については、「要求基準書」のp223~です。

↓ 利用料金の表は近隣の例です。

ちなみに、佐野市にあるごみ焼却場に併設された「みかもリフレッシュセンター」(コナミスポーツが運営)の料金体系はこちら

以前から余熱体験施設として農業研修センターに温浴施設がありました(センターはすでに解体済み)。⇒お風呂の画像はこちら(mixiより)

⇒他の市町村での余熱体験施設の具体例

【6/22 一般質問を終えての感想とまとめ】

6/23の下野新聞に一般質問の記事が掲載されました。

600億円もの予算で何を作ろうとしているのか?

私が初めて聞いた時の驚きは、多くの市民の皆さまと同じだと思い、構想が固まった和泉市長時代から現在までの流れ、特に費用について質問しました。

(1)余熱体験施設としてのプール等

記事には、新クリーンセンター建設の件で、競泳プール5レーン以上とトレーニングジム等がある余熱施設が作られると出ています。

平成30年に地元の方の要望で追加されることになりました。いわゆる迷惑施設に対する対策なので、それ自体は否定されるものではありません。誤解しないでほしいのは、地元の人はプールを作らなければ建設は許さないというような強硬な反対があったわけではありません。本当は一般的な競泳プールではなく、遠くからでも人を呼べるような、桐生市にあるカリビアンビーチのような娯楽施設を作り、足利にお金を落として行くことを望んだそうです。地元のためというより、足利のための提案だったということでした。それがなぜか競泳プールに。おそらく使える補助金との関係もあるかもしれません。

実際にどのような施設になるのかは、落札した事業者に委ねられるわけですが、予算的にカリビアンビーチが無理だとしても、せっかくならばウォータースライダーや滑り台、欲を言えば流れるプールに波のプール、温浴施設は温泉水を使うなど、少しの上乗せでそこまでお金をかけずとも周辺の施設とは違う付加価値を付け、継続的な集客を望めるような施設にして欲しいです。

ちなみに、市民プールの口コミを見ると、一般的な競泳プールで4.0点/5.0点満点を超える施設は見当たりませんが、ウォータースライダー等遊具がある施設は4.0点以上あります。

桐生ではなぜカリビアンビーチのような関東最大級の屋内プールが実現したのか?当時は国の特別な補助金を使えたからそうです(後で桐生市に総工費と管理時自費を聞いてみようと思います)。
コロナ前の話ですが事業者は赤字になっていないようです(市は別途、事業者に管理委託料を支払っているので、税金投入はしているはずとのこと。)。

一般質問を行う前に、余熱体験施設にプールができると書いたところ、桐生のカリビアンビーチのような施設ができるの?という質問がきました。それが実現するならワクワクする人も多いと思います。

人口の多い太田市でさえ、市民プールは老朽化ともに赤字が続いて閉鎖、茨城県龍ヶ崎市の施設も建設後3年までが利用者のピークで、その後13年は赤字を垂れ流し、20年ちょっとで閉鎖の議論が出ています。

逆に、「佐野やすらぎの湯」はかなり古い施設にもかかわらず、南平台から運んだ温泉を使用していていつでも混雑しています。

代替がきく施設は新しくなくなれば利用者も少なくなりますし、近くに競合施設ができればお客を取られます。
今から廃止することができないなら、どうせお金をかけるなら、ここにしか無い何かをそれほどお金をかけずに作れるものを事業者には提案してほしいと思います。

(2)600億円もの入札予定価格について

建設費の増加についてはオリンピックの高騰から物価高に入った影響で2倍になったことが大きいとの説明を受けました。

個々の内訳については、入札に影響が出るのでまだ公にできないそうですが、落札者が決定する10月以降には情報が出てくるかと思います。

(3)なぜ公共事業が一般よりも建設費が高くなるか?

工程ごとに県の基準が設定されていて、それを参考にしていますが、一般の建設・土木工事よりも価格が高い代わりに技術基準が厳しくなっているからという説明も受けました。

実際の落札では、予定価額の80〜90%に収まることが多いそうです。

また、今回は焼却炉の建設に環境省から費用の1/3、プール等の施設に文科省から1/3の補助金が出る予定だそうです。

削れるところは何とか努力していただきたいです。

(4)地元にお金を落としてもらう公募

新クリーンセンターの事業は、焼却炉の建設、その他の建物の建設、焼却炉・余熱体験施設それぞれの管理運営事業と別れています。

今回の入札方式は、特に建設業・土木事業者を地元企業から選び、数社がまとまって特別の会社を設立し、1つのグループとして応募することになっています。

焼却炉の建設ができるのは全国でも10社前後に限られているそうなので、プラントは大企業が担当しますが、その他の事業は地元企業と組んで行うことになるはずです。

国交省では公共事業の際に地元企業を優先的に採用する指針を示しており、足利市もこれに従っています。

一般的な価格だけの競争入札ではなく、総合評価で落札者を決定する方式になりますが、その中に価格の評価も含まれています。

(5)有料ゴミ袋の値上げについて

過去の一般質問を遡って聞いていたら、平成30年くらいからごみ袋の製造が赤字になっているので、値上げしても良いのではないかという議論が何度か出ていましたので、新クリーンセンターの建設・運営費が高額なだけに、これを機に値上げしても良いのではないか質問しました。

一時的に赤字にになっていた時期もありますが、現在は製造業者を変えたりして黒字を保っているそうです。赤字が続けば値上げの可能性はありそうです。

平成20年、吉谷市長の時に導入され、初回の価格は10枚入りで600円。大豆生田市長は選挙で無料とする旨公約していましたが、結局150円になり今に至ります。

有料化の際にはごみのポイ捨てや家庭ごみを他の施設のごみ箱に捨てる等の懸念がありましたが、600円時代でもそのようなことはなかったそうです。

(6)まとめ

どの企業がいくらで落札するのか?

足利史上最大額の公共事業ですので、市民の皆さまにも今後の動向を見守っていただきたいと思います。

【メディアの報道等】

⇒2019/12/18 施設整備基本計画の原案について(日本工業経済新聞社)

⇒2021/11/30 入札に関する建設業界の新聞記事(日本工業経済新聞社)

⇒2022/11/2 入札に関する建設業界の新聞記事(日刊建設新聞)

⇒広報誌での記載(あしかがみ2023年2月号)

【南部クリーンセンター地図】

【南部クリーンセンターをドローンで撮影した動画】


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