【議会】令和7年第2回市議会定例会 一般質問 ~市役所庁舎を競馬場跡地に建設してはダメな理由

【目次】

 

【足利志士の会 会派代表質問】

2025年3月10日(火)14:20頃~

6回目の一般質問は、足利志士の会の会派代表として登壇いたしました。

会派代表質問は、主に市長に対する市政全般の質問が多くなり、深堀りするよりも全体像やビジョンを問うことが多くなりますが、今回は市役所の建替えについてだけテーマを一つに絞り質問させていただきました。

【一般質問の通告書】

通告一覧表はこちらから

【用語解説】

一般質問とは、定例会において、議員が市の施策の状況や方針などについて、報告、説明を求めたり質問することをいいます。

一般質問は3日間(+予備日1日)が予定されており、1日最大4人が登壇します。一問一答方式で、質問は一人30分以内の時間制限があります。

代表質問は会派の代表者が初日に行います。形式は一問一答方式で同じです。本来であれば、会派を代表する内容の質問でなければならないはずですが、議員個人の関心のある事項の質問であることも多いです。

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当日は、わたらせTVでの生放送、市議会インターネット生中継も実施されます。

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【一般質問の概要+α】

一般質問の詳細については動画でご覧いただけます。

議事録はこちら→令和7年3月定例会(第2回) 03月10日-小沼光代一般質問-02号

ここでは、補足情報を掲載いたします。

2024年9月10日現在の情報ですので、今後変更になる場合がございます。

1、市役所庁舎、新市民会館の整備及び公共施設の再編について

今回はまだ何も決定していない段階での質問ですので、当局の答弁は何もなかったに等しいです。ただ、私としては、もし、競馬場跡地に市役所を建てるとなると色々な面で問題がありますよ、ということを指摘したかったので、そこに焦点を当てて感想を述べたいと思います。

■現時点で確定している内容

前提として、市役所及び市民会館の建替えについて、現時点で確定していることをまとめるとこのようになります。

【検討課題】
①複合化の検討、②建設候補地の選定、③財源の確保、④整備手法の検討

【複合化の検討】
・建て替え費用やその後の管理運営を節約する観点から、複合化の検討は必須(必ず複合化するとは言っていない)
・建設費用削減について、市民会館に使える補助金はあるが(国土交通省の都市構想再編集中事業で上限21億円、補助率50%、単独整備可)、市役所に使える補助金はない(ただし、複合化して共有面積を広く取り、補助金が使える範囲を広げる手法が考えられる)

【候補地の選定】
・候補地については3か所に限定(用地買収の費用をかけないため市有地に限定)
⇒市役所は単独で建設するならば現市役所の場所
⇒新市民会館は単独で建設するならば現市民プラザの場所
⇒複合化するならば競馬場跡地
・ただし、民間の調査では3か所ともに複合化は可能と回答

【建物の規模】
・新市民会館については、大ホール1,200~1,500席程度、小ホール300席程度、その他リハーサル室等((仮称)新足利市民会館 整備基本構想 ―概要版― )
・市役所についてはDX化により最小限の面積に抑える(参考:足利市本庁舎等整備基本構想 )

一般質問のやり取りについては冗長になる部分は省略しています。

(1)目標と進捗

質問:現在本市では、市役所庁舎及び新市民会館の整備に向け、令和5年に整備の基本方針となる基本構想を策定し、検討を進めているが、現在の進捗状況と今後の見通しを聞きたい。

答弁要約:現在は、整備に向けた検討業務を(株)石本建築事務所に発注し、複合化の可否等の検討を進めており、今後、令和7年度中に基本計画の策定に着手し、令和10年に着工できれば良い。
(次の2025年6月議会で質問しましたが、基本策定に向けた市民検討委員会の一般市民委員2名の選定が行われています。)

(2)候補地と複合化の態様

質問:・市役所庁舎と市民会館を複合化せず、それぞれの建物を異なる場所、異なる時期に建て替える可能性はあるのか。
・現段階における建設候補地として、それぞれの整備基本構想では、市役所庁舎は現在地周辺と旧競馬場跡地の2か所、市民会館は市民プラザ敷地と旧競馬場跡地の2か所が示されている が、これら候補地についてまちづくりの観点からどのように考えているのか。

答弁要旨:市民の利便性や経済性の観点などから、複合化の検討が必須。建設地を選定する上では、現在の状況のみならず、将来の姿を含めたまちづくりの視点で総合的に判断していく必要がある。

感想:「将来の姿を含めたまちづくりの視点」・・・これがどういう姿なのか。都市計画の変更なのか。後ほど再質問で聞きます。

再質問要旨:「市民の利便性」というのは具体的にどのような意味で考えているのか?

答弁要旨:一般論として、複数の機能をひとつの施設に複合化することによって、市民の方は1か所で複数の用事を済ませることができる。
・また、副次的な効果として、ひとつの目的のために訪れた施設に別の機能があることによって、新たな気づきが生まれるという点が想定される。

感想:「新たな気づき」が意味深です。質問をしても具体的な回答は出てこ来ないと思い、再質問はしていません。

再質問要旨:市長は以前、庁舎と市民会館の建て替えについて、①複合化の検討、②建設候補地の選定、③財源の確保、④整備手法の検討、この4つのポイントがあると述べらた。
これら全てをバランスよく考慮することが理想的だが、現時点で優先すべきポイントがあるのか。特に、どの要素を最も重視して進めようと考えているのか。

答弁要旨:これら4つのポイントは、財政状況が厳しい中、先延ばしできない両施設の整備には、どれも重要なポイントであると考えている。

再質問要旨:どれも重要だが、財源の確保を優先すれば、候補地が限定され、将来に向けたまちづくりの概念も変わってしまうのではないか。
『将来の姿を含めたまちづくりの視点』が強調されが、その点について確認したい。
現在、人口減少社会に対応するため、多くの自治体でコンパクトシティの考え方が重視され、令和4年3月に改訂された『足利市立地適正化計画』でも、足利中央エリアと山辺地区を中心拠点としており、都市機能誘導区域に指定されている。

一方、令和6年11月に改訂された『足利市都市計画マスタープラン』では、市街化調整区域にある旧競馬場跡地について『地域複合拠点』と位置づけ、『行政、市民の福祉、教育、文化の向上に寄与する機能を誘導する』と記載されている。

仮に旧競馬場跡地に市役所および市民会館を複合化して建設する場合、コンパクトシティの概念や足利市立地適正化計画と整合性が取れていないように見える。この点についてどのように説明するのか。

答弁要旨:・現時点で建設地は決まっていない。
・どの候補地になっても、必要な手続きを行っていく。

感想:足利市立地適正化計画よりも足利市都市計画マスタープランの方が上位の計画ではあるが、都市構造再編集中支援事業の補助金との関係で、都市機能誘導区域に位置付けられていない旧競馬場跡地に市民会館を設立するためには、足利市立地適正化計画の変更が必要になるはず。現時点では変更の予定はないようだが、仮に変更するのであればパブリックコメントを募集することになると思う。新庁舎及び市民会館の整備に関する市民からの意見聴取の機会にもなるので注目したい。

再質問要旨:旧競馬場跡地の立地について、ハザードマップによると、渡良瀬川が氾濫した場合、敷地の東部の一部が5m~10m、その他のエリアでも3m~5mの浸水被害が想定されている。また、『氾濫流』、つまり、堤防が壊れて河川から流れ出る水の力によって、家屋が倒壊や流出するおそれのある危険区域にも含まれている。
災害時に市庁舎は災害対策本部としての機能を担うが、市民の中には『立地として不適切ではないか』という意見もある。この点について、市はどのように説明するのか。

答弁要旨:・氾濫流の区域とは、浸水時に流速が早く、木造家屋は倒壊する恐れがある区域のこと。
・参考までに、市民会館、市役所は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造など堅固な構造を採用することが多い。

感想:市庁舎自体が強固な構造で倒壊はせずとも、大規模な浸水被害が想定される場所で、災害対策本部が設置されても機能するのかという意味で聞いたつもり。ここに消防本部を建設するとなった場合に立地として適切かということと同じだと思うのだが。

感想:(以降の再質問は同じ方向性なのでまとめます。)
旧競馬場跡地に本庁舎等の整備にあたり、水道、電気、ガス、インターネットなどの公共インフラの整備が必要と考えるが、工期や費用の面で大きなデメリットになるように見える。

また、旧競馬場跡地は市街化調整区域であるため、市街地に変更する手続きが必要になる。

道路の拡張、公共交通の整備、各種計画の変更のための時間と費用も掛かる。

敷地面積や建物の構造から工期や総工費を計算するとメリットが高いという示し方をされても、それは土地が広いし一度に建てられるのだから当然でしょう、という結論ありきのようになってしまうのではないか。

旧競馬場跡地に限らないが、諸々の費用を含めて最終的に他の候補地との関係でどれだけ費用が節約できたのかを試算してもらわないと、本当に工事費用が削減できたとは言えないと思う。

(3)必要な設備と規模

質問:・今後オンライン申請やAIの活用など業務のDX化の進展に伴い、市役所庁舎をコンパクトにすべきと言われているが、具体的にDX化によりどのような業務が縮小または不要となり、スペースを見直すことができると想定しているのか。

答弁要旨:業務のDX化を推進していくことは、庁舎面積を縮減するための有効な手段のひとつ。例えば、現在、取り組んでいる行政改革などにより、多角的にDX化を推進していくことで、事務室におけるプリンターの設置場所や紙資料の保管場所の削減、さらには書庫の縮小など、執務スペース全体のスリム化を図り、市民サービスの向上や維持管理コストの削減などに寄与するものと考えている。

再質問要旨①:現在、上下水道部は県庁舎に、こども家庭センターは保健センター内にあるが、新庁舎建設の際に、これらの部門も移転を検討しているのか。もし移転しないのであれば現在の場所に存続させる理由を聞きたい。

再質問要旨②:仮に旧競馬場跡地に新庁舎を建設する場合、現市役所の活用についてはどのように考えているのでしょうか。

答弁要旨:①本庁舎にどの部署が入るのかもこれから基本計画で検討するそうです。②跡地の活用も同時並行で検討する。

まとめ:現市役所は耐震性や老朽化の面で問題を抱えているため、そのままでは民間の利活用はなかなか難しいと思う。市街地にあるため土地の利用価値は高いが、万が一取壊しを前提に現状のまま土地と建物を売却するということになったとしても、近年の傾向から、公共施設跡地を建売住宅になりはしないか?中心市街地の活性化という観点からも十分な検討をお願いしたい。

(4)交通事情

質問:サウンディング市場型調査の結果によれば、旧競馬場跡地に建設した場合、車以外のアクセスの確保など課題があると書かれている。西側には緊急車両も通る足利赤十字病院が、南側には土手があり、北側の道路しか出入りできない場所にある。仮に競馬場跡地に建設された場合、周辺道路を拡張する必要があると考える。

また、現在も足利赤十字病院に行かれる方からは、帰りのバスの便がないという声も聞く。

仮に旧競馬場跡地に建設された場合、JR足利駅又は東武伊勢崎線足利市駅から約3キロ離れています。最寄り駅は山前駅になるが、自家用車を持たない市民にとっては、路線バスまたはタクシーの利用になると思う。職員の中には電車通勤の方もいると思うが、毎日通う職員にとっては過酷に見える。

仮の話ばかりになるが、周辺道路を拡張する必要がある、バスの便数を増やす、あるいは駅を新設するなどの交通事情の課題があることについて、どのように考えているのか。

再質問①:仮に、旧競馬場跡地に市役所及び市民会館を複合化して建設する場合、特に市民会館については集客力のあるイベントが開催された際には終了後に渋滞が予想される。隣に救急病院があるため、救急車の往来に支障が出るのではないかという市民からの意見がある。これに対してどのような対策が考えられるか。

再質問②:電車について巷では、昭和59年まであったJR両毛線「三重駅」を復活させるべきという話も聞かれる。それに伴い、富田駅の閉鎖の可能性もあると言われるが、このような話は検討課題に挙がっているのか。

答弁要旨:すべてこれからの検討課題。

まとめ:DX化により行かない窓口が進んだとしても、子どもの相談、福祉の相談等、交通弱者ほど窓口に行かなければならない事情があると思う。このような市民に対しては、バスの本数を増やす、あるいはタクシーチケットの補助を充実させるなどの手当てが必要だと考える。基本計画を策定する際には、最大限考慮することをお願いしたい。

感想:旧競馬場跡地については公共交通の手段が少ないことが課題となっているが、どうやら三重駅の復活はなさそうだと個人的に感じた。あしかがフラワーパーク駅ができ、白鴎大中学校の富田キャンパスが移転し、富田駅の需要が縮小したことで富田駅閉鎖の可能性が高いのではないか(最近、あしかがフラワーパーク駅前に駐輪場設置の話が出ている)。その代わり、JRが独自事業とし山前駅の建替えをすることで決着がついたのではないかと推測する。本来、駅舎の建替えは自治体と費用折半でやることが多いが、JRが単独で行うというのは異例のはずなので。
もちろん、市からは何も公表はされていませんので、私の推測にすぎません。

参考:サステナブルな駅舎へ 両毛線 山前駅がZEB認証を取得し生まれ変わります (JR東日本ニュース)

(5)公共施設の再編に伴う公民館におけるサービス

質問:今後、公共施設の再編に伴い、公民館での証明書の発行や納税等の行政サービスの提供を終了することも考えられるが、交通弱者やDX化に適応できていない市民の利便性についてどのように手当てするのか。

答弁要旨:・令和6年1月に改訂した足利市公共施設等総合管理計画において、公民館については令和7年度までの短期の期間中に、証明書の発行や納税等の支所機能の一部を見直しすることとしている。
・令和5年度における公民館での証明書の発行件数は約3万2千件となっているが、そのうちの2万7400件余、85.7%はコンビニでも取得可能なものであった。
・コンビニでは申請書の記入が不要で、窓口よりも50円安く、土日含めて夜11時まで取得が可能。マイナンバーカードの普及に伴い、取得率も令和元年度から令和5年度では3倍に増えている。
・また、納税に関してもコンビニ、金融機関、郵便局、口座振替のほか、新たにスマホ決済も導入するなど納付方法の拡充も進めているところであり、利便性の高い「行かなくてもいい窓口」の流れを加速させていきたいと考えている。

・一方で、時代の変化にあわせて、従来の行政サービスが変わる場合には、少なからず戸惑いを感じる市民がいることも承知しているところであり、影響を最小限に抑える取組を進めていく必要があると認識している。
・公共施設の再編に限らず、サービスの見直しを行う際は周知期間を十分に取ることや、目的や効果、代替手段等について、チラシや動画で分かりやすく伝えることなど、丁寧な対応に努めていく。

感想:市の計画では令和7年度中に公民館での行政サービスを廃止する(対応する職員も一部撤退)という内容になっているようです。予定通りに実行するのであれば、ある程度の期間を設けないと大混乱が予測されます。
公共施設建設更新特別委員会では、一度に全ての公民館から撤退するのは無謀だということで、一度に撤退するのではなく何箇所かに集約する方向で検討して欲しいこと、暗にですが市役所建替えの場所との関係も考慮して欲しい旨、提言しました。
公民館の近くに郵便局がないのが久野地区、コンビニがないのが名草と三和地区?と聞いていますが、車がない高齢者にとってはちょっと大変なことになりそうです。

なお、2025年8月4日から市役所窓口の営業時間が短縮されることになりました。
短縮した時間帯に高齢者の利用はほとんどなかったという調査結果だったようです。

【一般質問の動画】

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